ヒュッレムの最大の敵、イブラヒム・パシャ。スレイマン1世の右腕でもありましたが、噂によるとスレイマンと男色関係にあったとかなかったとか・・・。ドラマではそのことを匂わせるセリフやシーンがあるのですが、実際に絡みがあるわけではないので、あくまでも匂わせている程度です。
ヒュッレムはマヒデブラン(というか、その息子のムスタファ皇子)を後継にしようと考えているイブラヒムを排除しようとしているのですが、穿った見方をすれば、スレイマンと男色関係にあるイブラヒムに嫉妬していたのかもしれません。
で、イスラム的には男色はOKなのか?
厳格なキリスト教社会では同性愛は認められていなかったことになっていますが、実際は女性との関係を厳しく制限されていた聖職者などの間には同性愛が公然の秘密として行われていたらしいですし、イスラム社会でもおそらくはあったのだろうとは思います。しかし、どうもこちらも「厳格な」ムスリムからするととんでもないことらしいです。イスラム教を信じる国々ではコーランに基づく「シャリア法」が憲法よりも上に位置されていることがあり、基本的人権はシャリア法の範囲内でしか認められない国もあります。
近年ではブルネイで「同性愛は死刑」という衝撃の刑法が制定されています。
トルコはそういう国ではないのですが、「民族の英雄」スレイマン1世が男色家だったなんて民族主義の保守派には絶対に受け入れられないでしょう。ですからこのドラマでも、あからさまに男色を描くことはせず、あくまでも匂わす程度に止めたのかもしれません。
「皇帝の愛」を後ろ盾に増長するイブラヒム
始めの頃こそ謙虚な素振りを見せていたイブラヒムですが、権勢を得てどんどん傲慢な態度をとるようになりました。ドラマでも、ハティジェに対して表面上は下手に出ていましたが、二ギャールとの不倫がバレたあとは完全に開き直った態度...。たしかに皇女さまのお相手は大変だったでしょうが、それを選んだのはイブラヒム自身ですからね。
ドラマに登場していた大使に言った言葉「陛下のご命令も私の承認なくては・・・」のような言い草は実際に記録に残っているので、あの演出(大使に自分の手にキスを強要)は大げさなものではないようです。
イブラヒムの最期
オスマン帝国では「苗字(ファミリーネーム)」というものがなかったので(不便だと思うのですが、何故なんでしょう?)、歴史上同じ名前が複数いた場合、それぞれの人物の特徴を名前に添えて呼ぶことがあります。イブラヒム・パシャは「パルガル(パルガ人)・イブラヒム・パシャ」と呼ばれるのですが、時々「マクトゥル・イブラヒム・パシャ」と呼ばれる場合があります。「マクトゥル」とは「処刑された・被害者の」という意味です。
ところで、オスマン帝国外伝シーズン3で描かれるイブラヒムの末路ですが、史実に基づけば処刑されることは確定です。しかし、イラクへの遠征の後になるのでドラマ上すぐに消えてしまうわけではありません。
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