イブラヒムと詩について話していたエブッスードがこき下ろした詩人「ユヌス・エムレ」
彼は肖像が紙幣に描かれるほど現代のトルコでは尊敬されているというのに、どうしてエブッスードがそこまで否定的なのか気になりました。
ユヌス・エムレとは
ユヌス・エムレについては、謎が多いのですが、1238年ごろアナトリアで生まれたと思われます。
アラビア語の他、ペルシャ語も堪能で、イスラム科学にも造詣が深かったと言われています。
ユヌスはスーフィズムで有名なベクタシュ教団の一員で、詩はトルコ語で書かれています。その内容は神や人間への愛を詠む神秘主義詩で、アナトリア・トルコ語詩の先駆けとして認知されています。
独特の信条をもつベクタシュ教団
そんなユヌスをエブッスードは、なぜ否定しているのでしょうか?
ベクタシュ教団はイスラム教の十二イマーム派(シーア派)の宗教団体で、その独特な考え方で、正統派とされるイスラム長老からは異端視されていました。
エブッスードは「正統派」であるため、「異端」のユヌスを認めることができなかったのでしょう。
しかし、いわゆるインテリ層に支持者が多かったため、近世のオスマン帝国ではベクタシュはかなり普及していたようです。
現代でも健在なユヌス・エムレの詩
ユヌスの詩は普遍的な人間への愛に満ちているため、現代人にも共感されています。
そのためその詩は文学やポップミュージックやドラマ、映画などのテーマになっています。
また、2007年には、国際文化交流機関ユヌス・エムレ・インスティトゥートが設立され、国際的な文化交流などが行われています。
ユヌス・エムレを描いたドラマや映画も
ユヌスの作品だけではなく、ユヌス自身を描いたドラマや映画なども作られています。
Yunus Emre Aşkın Sesi (2014)
ユヌス・エムレの生涯を描いた映画。主演はSinan Albayrak
Yunus Emre - ''Aşkın Yolculuğu''(2015~)
(ユヌス・エムレ”愛の旅”)
「愛の人」ユヌス・エムレの生涯を描いたテレビドラマ。
このように現代では、人々に支持されているユヌス・エムレ・・・エブッスードの宗教観では「異端」であったため、あのように厳しく批判したのでしょう。
解釈は人それぞれですが、その影響力は無視できないものであったのだと思います。
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