オットマニアな主婦のブログ

オスマン帝国外伝にどハマリしたオットマニアな主婦の独り言です。(注意:ネタバレありですので、本編を観てから読んでください)

オスマン帝国外伝シーズン3で気になったこと マシュキ師の「教え」

市場の広場で人々に説教をしていてエブッスードに注意されたマシュキ師は、聖人と呼ばれる父を持つ人物でしたが、その説法はイスラム教徒にとってかなり衝撃的なものでした。

食べること・寝ることも礼拝?!イスラムの戒律を否定するマシュキ師

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マシュキ師は、イスラム教徒に課されている「日々の礼拝」「断食」「聖地巡礼」などの行為を「真のイスラム教徒には必要ないこと」だといい、飲食や睡眠などの人間の生活行動がすべて「祈り」につながると説いています。

それを聞いた人々は驚き、非難しますが、マシュキ師は全く意に介しません。

ドラマの中ではエブッスードに注意されて、スレイマンに尋問されることになりましたが、史実でもスレイマンに呼び出されて警告されています。

 

帝都退去にも応じないマシュキ師

史実ではスレイマンから考えを改めないのなら帝都を去るよう命じられたマシュキ師でしたが、その命令を無視して、大衆に説教を続けたといいます

本来ならすぐに処刑となるはずでしたが、父親が「聖人」と呼ばれるアリー師であったため、一度は追放で解決しようとしました。しかし、マシュキ師の説法内容を問題視したイスラム長老たちは、スレイマンにマシュキ師の処刑を迫り、結局は処刑されることになってしまいます。

帝都に来て約1年でマシュキ師は処刑されてしまいました。

 

長らく処刑理由を書いた文書が見つからなかったマシュキ師

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長らくオスマン帝国の裁判記録が見つかっていなかったため、マシュキ師の処刑理由もはっきりとはわかっていませんでしたが、近年の研究で裁判で証言した証人の記録が発見されています。

歴史研究家のアフメト・ヤシャル・オカックによると、マシュキ師の死刑判決文の中に8人の告発者の証言が記載されていて、それによると、マシュキ師が守らなくてよいとしている古代からシャリアによって禁止されていることはすべてハラル(禁忌)であるとし、マシュキ師が唱える「食べること、寝ること、休むことは礼拝である」というものも神との契約である一日5回の礼拝を否定するものであると書かれていて、さらに、同じく聖地巡礼や断食、喜捨イスラムの神との契約であるとしてそれを否定するマシュキ師がイスラムの神を冒涜したとして死刑判決が出されたのだというのです。

 

イスラム教徒にとって、イスラムの神との契約は絶対で、ムスリムになった時から守るべきものであるとして、オスマン帝国ではそれを守らなければイスラム法に基づいて死刑を言い渡されるのです。このイスラム法により、マシュキ師は死刑を言い渡されてしまったのです。

 

マシュキ師役はDeniz Celiloğlu

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Deniz celiloğluは1986年7月19日ブルガリア生まれ。

3歳の時に家族と共にトルコに移民しました。ミマール・シナン芸術大学で演劇を学んでいます。最新作は「Siyah Beyaz Aşk」です。

 

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いかがでしたか?イスラム法の下に統治をおこなっているオスマン帝国にとっては、その根幹であるイスラム法を無視するマシュキ師の行為を見過ごせなかったということです。

イスラム教に詳しくない私たちから見れば厳しすぎるように見えるマシュキ師の処刑ですが、イスラム教徒にとっては信仰を否定されているようで認めることができなかったのだと思います。