オットマニアな主婦のブログ

オスマン帝国外伝にどハマリしたオットマニアな主婦の独り言です。(注意:ネタバレありですので、本編を観てから読んでください)

オスマン帝国外伝で気になった人物 リュステム・パシャ

オスマン帝国外伝では悪役として視聴者の憎悪を買っているリュステム・パシャ。

しかし、あまりにも悪辣に描かれているため、実際にはどうだったのか気になりました。

 

リュステム・パシャ

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リュステム・パシャは1500年頃の生まれでブトミルまたはサラビジェスコという村の出身だといわれています。トルコのウィキでは家名としてオプコビッチ、またはシガリックとあり、キリスト教徒からの改宗者の家庭出身のようです。

兄弟はドラマにも出てきたシナンとNefiseという妹がいました。ドラマでも妹の存在は語られていましたが、一度も出てきていませんでしたね。

リュステムは幼いころに優秀な子供を集めて教育していた宮廷学校に入れられました。

ここでは将来皇帝に仕えるためのマナーやプロトコルの他、地理や数学などの学問、アラビア語ペルシャ語などの語学、そしてコーランハディースなどのイスラム学を学びます。

卒業した後1526年のモハーチの戦いで兵士として参加しました。

帰還後、厩係(Imrahors)に選ばれ、ドラマであるように宮廷での生活を始めました。

この厩係は宮廷学校の出身者から選ばれる役職のようで、身分は低いものの、皇帝に直接会うことができるため、皇帝に気に入られれば出世の糸口になる可能性があります。

リュステムもご多分に漏れず、スレイマンの目に留まりディヤルバクルの軍政官に取り立てられました。その後アナトリア州軍政官に任命されました。アナトリア州はマニサやキュタフヤ、ブルサも含む重要な州で、イスタンブールを守る兵士も多くはこの州に拠点を置いています。バヤジット皇子がこの州の軍政官を味方に付けていれば、有利に戦いを進めることができたでしょう。

1539年には宰相に任命され、その年にミフリマーフと結婚し「ダマト(入り婿)」と呼ばれるようになりました。

結婚を阻止しようと考えたリュステムのライバルたちが「リュステムはらい病である」という噂を流しましたが、リュステムを調べた医師がリュステムのシャツに虱がいるのを見てらい病ではないと判断し、結婚が許されたという経緯はドラマでも描かれていました。

ドラマでは描かれていない大宰相になった経緯ですが、シーズン3で最後に大宰相だったスレイマン・パシャと、ハティジェの婿だったヒュスレヴとの間に刃傷沙汰があり、二人がそろって解任されたために、第三位であったリュステムが大宰相になったようです。

ドラマのスレイマン・パシャとヒュスレヴからは想像できませんが、史実では二人の争い現場をスレイマンが目撃して二人を解任したとなっていて、それを演出したのがヒュッレムとミフリマーフだったようです。

こうやって大宰相になったリュステムはドラマであったようにムスタファ皇子を陥れて排除しましたが、イニチェリの暴動を恐れたスレイマンが、リュステム大宰相を解任してカラ・アフメトを大宰相に任命しました。

 

 

リュステムの人物評

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リュステムがどんな人物だったのかを見ると、「用心深く、頭がいい」が「虐待的で不機嫌な男」という評価もあり、蓄財も有名だったとあります。

遺産として残されていたのは、大量の宝石、1700人の奴隷、2900頭の軍馬、1160頭のラクダ、2000領の鎧、5000着の縫製済みカフタン、金銀の鞍などの他、70万金貨や1000か所の農場などの不動産もあり、相当な額になったようです。

ちなみに彼がここまでの蓄財ができたのは、彼が断行した財務立て直しのための増税を回避するため、農場主らがリュステムに「手数料」と称して賄賂を渡していたことによるといわれています。

リュステムの改革で一時的にはオスマン帝国の税収が上がったのですが、農場経営者たちは収益を上げるための投資を止め、その代わりに税を負けてもらうための賄賂を渡すという悪しき習慣が根付き、結果的に国力を下げることになったという説もあります。

 

リュステム・パシャ・モスク

 
 
 
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リュステムが建設しようとしている「リュステム・パシャ・モスク」は、リュステムの生前に完成することはありませんでした。

そのため、リュステム本人はメフメト皇子やジハンギル皇子と同じシェザーデ・モスクに埋葬されました。

 

リュステム・パシャ・モスクは地下に商店街を持ち、その賃料でモスクの運営をしているという、いかにもリュステムらしい作りのモスクです。

史実では建設を支持したのはミフリマーフのようで、この辺はドラマとは違い、夫婦仲はよかったことを覗わせます。

 

リュステム役はオザン・ギュベン

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オザン・ギュベンは1975年5月19日旧西ドイツのニュルンベルク生まれです。

ミマー・シナン大学でモダン・ダンス(!)を学び、イズミール市立音楽院で演技を学びました。

1998年から役者としてドラマや映画に出演し、コメディからシリアスまで幅広い演技で定評です。

今年の6月に恋人だった女性からDVで訴えられ、泥沼裁判の結果、有罪判決が出てしまいました。ただ、相手の女性からの暴力もあったとしてオザン側は逆提訴していますので、今のところ事実が確定したとは言い切れません。

 

 

いかがでしたか?史実のリュステムはミフリマーフと不仲ではなかったようですが、賄賂や虐待体質など、若干ドラマのリュステムを覗わせる部分もありました。

ドラマでは悪役リュステムがどうなっていくか、気になるところですが、実際にそこまでの悪役だったとは言えないかもしれません。

オザンさんについては、最近残念なニュースがあったため、今後の活躍に暗雲が立ち込めていますが、うまい役者さんですのでもったいないことをしたなと残念でなりません。(もちろん、本当にDVなら許せないことですけど)

 

 

 

 

 

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