ドラマを観ていて気になったのは、マヒデブランやヒュッレムが自費でワクフをやったり、借金をしたりしていること。
後宮の女性たちには「お手当て」が払われていますが、その額がどのくらいなのか気になったのでちょっと調べてみました。
ハセキの「お手当て」
ハレムのヒエラルキーとして最高位はもちろん母后ですが、実は母后よりも寵妃「ハセキ」の方がお手当ては多くなりがちでした。
まあ、皇帝のお気に入りなんですから、甘えておねだりしたら要求が通りやすいんでしょうね。
そのハセキのお手当てですが、スレイマンの母后アイシェ・ハフサはハセキ時代日給200金貨だったという記録が残っています。
しかしヒュッレムはというと、スレイマンの正妃になったのちはなんと日給2000金貨!
一気に10倍になりました。スレイマンの他の寵妃は母后と同じ200金貨だったようなので、ものすごいえこひいきです。(ちょいちょい!!スレイマン!どんだけ甘やかしてるの?!)
その後のハセキについては、ヌルバーヌがヒュッレムと同じ2000金貨でしたが、その息子ムラト3世のハセキ、サフィエは3000金貨!しかもこれ、なんと皇帝が不在中に勝手に増額したのだそう・・・。さすがヌルバーヌを超える悪女と言われるだけある・・・。そしてそのままサフィエは夫の死後もその金額を受け取り続けたようです。ただ、殆どのハセキは1000~2000金貨が普通で、サフィエ以外で夫の死後も3000金貨を受け取っていたのはオスマン帝国外伝の続編「キョセム」で主人公になっているキョセム・スルタンとそのキョセムを排除したトゥルハン・スルタンです。
ちなみにサフィエ以外の母后のお手当てはだいたい750金貨くらいのようで、どんだけ強欲だったのかとあきれますね。
皇帝は個人的な収入として日給1000金貨と記録されています。スレイマンもこの金額だったので、スレイマンはヒュッレムに自分より多い金額を支給していたんですね!
まあ、皇帝の身の回りのものって殆どが公費で賄われていたんだろうけど。
皇子や皇女のお手当て
それ以外の皇族はどうでしょうか?皇女たちのお手当ては、独身時は100~200金貨で結婚すると300~400金貨に増額されますが、スレイマンの一人娘ミフリマーフは750金貨を支給されています。
この状況は皇子も同じだということです。地方赴任してこの金額ではきついのではないかと思いますが、どうやら地方宮殿の運営は皇子たちのお手当てから賄われていたわけではなく、国庫から支出していたようなので、完全にこづかいという扱いですね。
しかし、懐事情を知るとなんか、ドラマの見方が変わりそうw
その他のハレムの人たちの給金
では、他のハレムで働く人たちの給金はどうなっているのでしょうか?
皇帝の「乳母」の地位にある人は、母后と同じ金額を受け取る場合もありました。
ちなみに「乳母」というのはオスマン帝国では「Daye-hatun」となっています。
おや?っと思いますよね?ドラマではダイエは乳母じゃなかったはず・・・。それとも最初は乳母の設定だったのかなあ?
他の役職で分かっているのはヌルバーヌの女官長だったジャンフェダーで、ヌルバーヌがジャンフェダーの働きを評価して1日100金貨だった恩給を増額したという話が残っています。ヌルバーヌ、ジャンフェダーに報いたんですね。
ということは女官長の恩給は100金貨が普通だったのかな?
ニギャールはあんなやめ方だったから恩給なんてもらえなかったんだろうね・・・。
意外に開かれていたハレム
調べていてわかったのは、ハレムにいた側女たちが結婚して宮殿を離れても、お金のために女官として宮殿に勤めることもできたということ。ニギャールが偽装結婚後に宮殿にしょっちゅう出入りしていたのは、この制度を使っていたのかも。
外部の人間が出入りしているのなら、ハレムにいても外部とのつながりがあるし、宮殿内の噂が外に漏れてしまうのも分かります。
なんだか不思議な気がします。ハレムの女性は奴隷で自由がない存在だと思っていたんですが、実は違っていたようです。
いかがでしたか?スレイマンのヒュッレムへの破格の待遇が金銭面でも明らかになりました。この待遇の違いはマヒデブランには納得できなかったでしょうね。
ヒュッレムは生涯70ものワクフを行っています。その資金はこのお手当てから出していたのですが、これだけ破格のお手当てを貰っていたのなら、それも納得できます。