現在Netflix で配信されているトルコ映画「ホタルを見たことありますか?」は、1999年初上演されトルコでヒットした演劇をもとに製作されたものです。
ストーリー概要
主人公ギュルセレン(エジェム・エルケク)は、天才的な頭脳を持つがゆえに周囲となじめない。彼女の扱いに大人たちは苦労するが、父親だけは彼女を理解する。
彼女の話を聞きつけたレポーターが取材にやって来て、ギュルセレンは自分の奇妙な人生を話し始める―
主人公ギュルセレンは1948年生まれという設定で、トルコの近代史が背景にあるので、そこをわかっていないとコメディとしては理解できない気がします。
40年代から70年代のトルコは、共産革命を主張するグループと軍事クーデターでかなり混乱していました。そんな中で多感な時期を過ごしたギュルセレンの人生を老年を迎えたギュルセレン本人が語るという形でストーリーが展開します。
脚本家 ユルマズ・アルドラン
この作品は、もともとは舞台演劇として90年代にユルマズ・アルドランによって制作され、斬新な演出で大ヒットした作品です。
アルドランは、以前からこの作品を映画化したいと望んでおり、今回念願の映画化にこぎつけることができたようです。
作品自体は2020年にすでに出来上がっていましたが、コロナ禍で劇場での上映ができなかったため、Netflix と契約して配信での発表となりました。
アルドランは舞台でも出演していますが、この舞台作品を制作した当時、徴兵で軍に所属しており、隊から休暇を取得してまで出演したというエピソードがあります。
それだけこの作品に思い入れがあるのでしょうね。
舞台での評価は上々・・・でも・・・。
作者待望の映画化ですが、どうもそれほど評価されていません。Imdbのコメントなどにも、「ユルマズ・アルドランに前払いするな そうすれば彼も仕事をするだろう」なんていうものがあり、辛辣です。このような意見はおそらく舞台と比較しての発言でしょう。
私の感想も、なんていうか、「舞台向きの話」だなという印象です。
実際この作品は、舞台で上演された時は非常に高評価を得ていました。それは斬新な演出によるものが大きかったようです。実際に舞台を観た人のレビューを見ても、賛美するものばかりですので、正直舞台の方を観てみたかったなと思ってしまいましたw
主演はエジェム・エルケク
天才児ギュルセレンを演じたエジェム・エルケクは1989年6月24日アンカラ生まれ。両親はシヴァス出身のクルド系トルコ人です。
高校卒業後、女優になることを決意し、ママキ市立音楽院の演劇科に進み、その後、ハセッテペ大学でも演劇を学びました。
2009年にアンカラ芸術劇場の研修生となり、2010年にはアンカラ州立大学の演劇科に進みました。
(いつも思うのですが、トルコの俳優さんって皆ちゃんと演劇を学んでいますね。演技力があるのもうなずけます)
2015年に卒業後、いくつかの舞台を経験し、その後はテレビドラマにも出演。2017年にはNetflix ドラマ「ラスト・プロテクター」にも出演しています。
2020年にはGüldürGüldürShowというコメディで、ゴールデン・バタフライ賞の「最優秀コメディ女優賞」を受賞しました。
ちなみに私生活では2016年にYüce Armağan Erkekという方と結婚しましたが、2020年に離婚しているようです。
いかがでしたか?「ホタルを見たことありますか?」の評価はちょっと微妙な感じですが、脚本を書いたユルマズ・アルドランにとってはかなり思い入れのある作品のようです。できれば舞台の方を見て、映画と見比べてみたい気がします。