オットマニアな主婦のブログ

オスマン帝国外伝にどハマリしたオットマニアな主婦の独り言です。(注意:ネタバレありですので、本編を観てから読んでください)

MAGI~天正遣欧少年使節 が気になる

天正遣欧少年使節」というのは、歴史の授業で習ったことは記憶にありますが、私はあまり詳しくは知りませんでした。

しかし、オスマン帝国外伝を観るようになって、時代的に近いこの出来事をその時代のヨーロッパの様子などを日本人の視点から描いているこのドラマに興味を持ちました。

 イエズス会の野望?日本人をヴァチカンへ

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織田信長が存命のころ、宣教師ヴァリニャーノの発案でヴァチカンにキリシタンの少年たちを送ることになりました。

東方の小さな島国日本は、キリスト教世界から見ると未だ「光を知らない」国であり、香辛料なども取れない取るに足りない存在だと考えられていました。

しかし、日本人の、素直で教養がある民族性を知ったヴァリニャーノは、もっと日本人信者を増やすためにヴァチカンから資金を得ようと、そのプロモーションのために少年たちをヴァチカンに送り、法王に会わせようと計画します。

聖書にある「東方の三賢人」になぞらえて3人の少年を送ることになりましたが、当時の船旅は過酷で、旅の途中で命を失うものも少なくありませんでした。そこで、ヴァリニャーノは3人ではなく4人の少年を選抜します。

 

信長に謁見する少年たち

ドラマでは少年たちはヴァリニャーノに連れられて織田信長に謁見します。

そこで少年の一人、伊藤マンショは信長から「伴天連の神の愛とは何か」を法王に聞いてくるよう命じられます。

勿論、これはフィクションで、実際の事ではないでしょうが、この言葉はドラマにとって重要な言葉となります。

 

行く先々で「伴天連」の矛盾を知る少年たち

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当時のヨーロッパはスペインとポルトガルが世界中に植民地を作り、原住民らを奴隷にして他の土地に送っていました。そして、その中には人身売買によって奴隷とされた日本人の子供たちの姿もありました。

それらを目にした少年たちは「伴天連」のいう「愛」に疑問を持つようになります。

 

フェリペ2世への謁見

スペインに到着した少年たちはフェリペ2世に謁見します。

フェリペ2世はスレイマン1世の宿敵カール1世の息子で、「カトリックの守護者」と言われています。

敵に対しては容赦ないフェリペ2世に、伊藤マンショは信長と同じ何かを感じます。

 

花の都フィレンツェルネッサンスの息吹を感じる少年たち

その頃、フィレンツェではメディチ家の当主トスカーナ大公フランチェスコ1世に面会し、夫人のビアンカが主宰する舞踏会にも招待されます。

このように華やかで享楽的なフィレンツェを、少年たちに同行するメスキータは苦々しく思っていました。

そのフィレンツェにはヴァチカンから「異端」として非難されているガリレオ・ガリレイが住んでいました。ガリレオにこっそり会いに行った原マルティノは感銘を受けます。

 

ユダは誰?ヴァチカン行きを邪魔される少年たち

少年たちをヴァチカンに送ったヴァリニャーノの評価が上がることを良しとしないイエズス会の幹部たちは様々な手で少年たちの足止めを試みます。

ローマまであと少しという時に、「少年使節は偽物」という告発がローマ法王庁に届きます。

実はヴァリニャーノは「少年たちは王子である」と伝えていました。

しかし、その中の一人伊藤マンショはみなしごで、領主の子息ではありませんでした。

それを知った法王庁は少年たちと法王の面会を拒否します。

 

少年たちはMAGIと呼ばれる

MAGIとは、東方三賢人のことで、カトリック信者たちは東方からきた少年たちをMAGIだと思い、歓迎します。その声に押され、法王庁は少年たちを法王に面会させることにしました。

 

 

法王に面会した少年たちはストレートに自分たちの疑問を投げかけます。

驚く枢機卿たちでしたが、法王は彼らのそのまっすぐな心に打たれ、一人一人に誠意を見せます。

 

 

彼らは無事に法王と謁見し、日本に帰ることになりましたが、すでに信長は亡く、天下を取った秀吉は「伴天連追放」を決め、キリシタンを弾圧するようになっていました。

日本を追われた伴天連たちは、武力で日本を制圧すべきだと唱え始めます。

 

 

このドラマで描かれているキリスト教社会は、矛盾だらけで偏見に満ちています。これはフィクションで実際のヴァリニャーノがどう思っていたのかは分かりませんが、当時のヨーロッパ人が自分たち以外を「劣った人種」とナチュラルに思っていたことは間違いありません。

一方で「神の愛」を説き、他方では異人種を「自分たちに仕えるために生まれてきたもの」と言い放つその言動に正直腹が立ちました。

黒人奴隷を献上された信長は彼の鎖をはずして家臣として自分の側に置きました。その一点だけでも信長が「異人種」を人間として見ていたことが分かります。

 

秀吉が伴天連追放令を出したのはそんな伴天連の下心を知って、危険を察知したからだと思います。その後の弾圧も、宗教で洗脳された人々がまた伴天連を日本に引き入れようとすると思っての事でしょう。

ドラマはあくまでキリシタンの少年たちの目線で描かれていますので、そんな秀吉を「自分にしたがわないキリシタン」を憎んでのことという解釈になっています。

それはちょっと納得いきませんでしたが、ドラマとしては大変面白く視聴できました。

オスマン帝国外伝」「メディチ」「MAGI」を見ると、その頃の世界情勢がある程度理解できます。

ですから、視聴環境のある方はぜひとも「MAGI」も、見て欲しいです。

 

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