ヒュッレムがスンビュルに「お前ならカーフ山の先にある銀の羽も探せる」と言ってイブラヒムの墓を探して欲しいと頼みましたが、カーフ山というのは初めて耳にする名前だったのでとても気になり、ちょっと調べてみることにしました。
ペルシャ神話・伝説の山 カーフ山
カーフ山という山が実在しているわけではなく、ペルシャの神話やおとぎ話に出てくる伝説の山で、霊鳥シームルグや妖精が住んでいるとされています。
さらに山自体がエメラルドでできていて、光の反射で空も緑に光っているといい、地の果てにあるとされています。
古代人が世界が平らであると信じている頃、世界を縁取る形で存在するのがカーフ山(山というより山脈?)とされていました。
トルコのウィキによると、この山のモデルとなったのは、現在のロシア連邦にあるエルブス山だと書かれています。
カーフ山(山脈?)は決して越えられない地の果ての山とされていますが、そのモデルと言われているエルブス山はヨーロッパ最高峰となっており、険しい山が連っていて古代の人にとって越えるのは至難の業であったと思われます。
ちなみに日本のウィキではアルブルズ山脈となっていて、こちらはイラン北部にある山脈となっています。
ただし、エルブス山もアルブルズ山も黒海からカスピ海まで続く山脈の系列なので、この辺りがシームルグのいたと考えられていた場所だと思われます。
カーフ山についてはコーランの50番目のスーラに記載されていて、スーフィズムと関係が深いようです。
霊鳥シームルグ
オスマン帝国外伝にはたびたび登場する「霊鳥シームルグ」。
ヒュッレムは死の直前、何度も夢でシームルグを見ました。
シームルグは1700年の寿命を持ち、300歳になると卵を産み、生まれた卵は250年かけて孵化し、そのひなが成長すると親鳥は火に飛び込んで死ぬといいます。
子供の成長を見届けて死ぬというのはヒュッレムのイメージにぴったりです。死ぬ前に夢で何度も出てきたあの火の鳥はおそらくシームルグなのでしょうね。
↑ヒュッレムの目に移った霊鳥シームルグは金色に輝く燃える鳥
シームルグの羽は傷を癒す力があり、叙事詩シャーナーメには、臨月を迎えても出産の兆候が現れなかったルーダベの帝王切開(!)してその傷をシームルグの羽で撫でると傷が癒えたとされています。
ヒュッレムが言っていた銀の羽は、もしかしたらシームルグの羽の事かもしれません。
いかがでしたか?ヒュッレムはその人生の幕を下ろしてしまいましたが、彼女の残した子供たちの物語はまだまだ続きます。
つらい話が続くと思いますが、スレイマンの一生を最期まで見届けたいと思います。