スレイマンの父帝セリム1世の妻はオスマン帝国外伝では母后「アイシェ・ハフサ」だけとなっていますが、実際は他にもいたのです。しかもドラマに登場した皇女様たちのうち数人は母后の娘ではないようです。
二人の「アイシェ」スルタン
ドラマ内では母后アイシェ・ハフサは「クリミア王女」となっていますが、実はクリミア王女ではないという説があります。
その説によると、セリム1世の妻には「アイシェ」が二人おり、クリミア王女なのは「アイシェ・ハフサ」ではなく、もう一人の「アイシェ」だということです。
さらに、「アイシェ・ハフサ」はスレイマンとハティジェ、ファトマともう一人Hâfizeという名の皇女の母で、シャー皇女とベイハン皇女はもう一人の「アイシェ」の娘だというのです。
いくつかサイトを調べましたが、少なくとも、セリム1世の後宮には二人の「アイシェ」がいたことだけは確かのようです。
名前が同じであったことや、母后の息子スレイマンが偉大な皇帝だったことから、混乱が生じたか、わざと混同した可能性もあります。
無名の側女、ユベイス・パシャの母
後宮には多くの側女がいたため、いわゆる「お手付き」の側女も大勢いたと思われます。そしてその側女は高官に「払下げ（？）」られることもありました。
ドラマ内でも、母后は目障りなヒュッレムを「払下げ」ようとしましたが、「妊娠」が発覚して断念したというエピソードがありました。実際そういうことはよくあったようで、セリム1世には名前が伝わっていない側女を家臣に「払下げ」したところ、その側女が実は妊娠していたという話があり、妊娠が発覚した時、その側女はすでにほかの男性と結婚した後だったため、その側女が産んだ子は男の子であったにもかかわらず「皇子」と認められませんでした。
この男の子が「ユベイス・パシャ」で、セリム1世はずっとユベイスの事を気にかけていたらしいとまことしやかに伝わっています。
スレイマン自身もこのユベイスを「兄弟」と認めていたらしく、ユベイスが亡くなった時に兄弟が亡くなったと嘆いたといわれています。
こう考えると、ドラマ内であったようにセリム1世、またはユベイス派の人物がスレイマンを暗殺しようとした可能性もなくはないなと思えますね。ただし、あれは史実ではないと思いますが。
オスマン帝国外伝のドラマ内で、母后が「先帝とはいろいろあった」と呟くシーンがありました。この「いろいろ」がこのユベイス問題だとしたら、もしかしたらユベイスの母を「払下げ」たのは母后だったのでは？とちょっと思ってしまいました。
もしそうだとしても、ヒュッレムやヌルバーヌを見た後では、命を奪わなかっただけまだ優しかったのかもと思ってしまいますが。
この辺りの話も新しい「セリム1世のドラマ」では描かれるのかもしれません。ぜひとも日本で配信してもらいたいですね！
