オスマン帝国第34代皇帝アブドゥルハミド2世を主人公にしたドラマ、「Payitaht:Abdülhamid」が、民族主義的だとして欧米で物議を呼びました。
アブドゥルハミド2世とは
アブドゥルハミド2世は、オスマン帝国に立憲君主制を持ち込んだ人物ですが、世界情勢的に近代化が必要であったためでありました。憲法で君主としての権限を弱められることを恐れて、戒厳令や危険人物の国外追放などの強権を持ったままの「立憲君主」になりました。
その後、ロシアとの戦争で敗北し、セルビアやモンテネグロ、ルーマニアなど、多くの領地を失いました。
その戦争中に、非常事態を口実に専制政治を取り、以後30年に及ぶ専制政治を展開し、多くの敵対勢力を処刑したため、「Kızıl Sultan」(赤い流血帝)と呼ばれています。
この恐怖政治に国民は不満を爆発させ、青年トルコ党による革命運動に発展したのです。
青年トルコ党の要望を受け入れたアブドゥルハミド2世は一度は立憲君主制に戻しましたが、反革命派がクーデターを起こし、皇帝の関与が疑われたため、議会の決議でアブドゥルハミド2世は退位を宣告されました。
Payitaht:Abdülhamidのどこが問題?
このドラマでは、イスラエルのオスマン帝国からの独立を画策した、いわゆる「シオニズム運動」を「テロリスト」として描いていて、帝国側の立場から「悪役」とみなしているため、民族的な対立を煽っているとして非難されたのです。
「シオニズム運動」が悪として描かれているのは、主人公から見た場合、仕方ないような気もしますが、ユダヤ人の気持ちを逆なですることは明白ですので、批判されるのは仕方ないでしょう。
ただ、内容自体は面白いドラマで、IMDBなどの評価でも、初めは低めに設定されていましたが、最近の評価は高く、初めの評価が「誰か」への「忖度」だったのではないかと言われています。
ギュルフェム役のセレン・オズトゥルクやアイビケ役のエズジ・エボゥグらも出演!
「Payitaht:Abdülhamid」には、ギュルフェム役のセレン・オズトゥルクや、アイビケ役のエズジ・エボゥグの他、ミマー・シナン役のgürkan uygunや、メルジャン役のsaygın soysalらも参加しています。saygın soysalは、シオニズム運動のリーダーの一人、テオドール・ヘルツルという重要な役どころで出演しています。
いかがでしたか?「Payitaht:Abdülhamid」はトルコのドラマの底力を見せてくれたドラマですね。
政治的にもデリケートな問題を孕んだドラマで、よく作ったなと感心します。事なかれ主義の日本なら絶対できないでしょうね!
難しいかもしれませんが、日本でも観れるようになったらいいなと思います。
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