オットマニアな主婦のブログ

オスマン帝国外伝にどハマリしたオットマニアな主婦の独り言です。(注意:ネタバレありですので、本編を観てから読んでください)

オスマン帝国外伝で気になったこと イスラム教と犬

ヌルバーヌが連れ帰った子犬を宮殿で飼いたいといった時、「犬は不浄の生き物」だとして、飼うことを反対されました。

イスラム教で不浄の生き物と言えば豚を思い浮かべますが、「犬が不浄」とはどういうことなのでしょうか?

f:id:Tomotomo3:20200831132454p:plain

 

ハディースによる禁忌

ハディースとは、イスラム教の経典の一つで、ムハンマドの言行録です。ちなみにもっとも有名な経典はコーランですが、こちらは「神の啓示」を記したものです。

そのハディースで、「犬は不浄の生き物」と規定されていて、特に「犬の唾液」が付いたものは7回洗うよう指示しています。

 

なぜ犬の唾液が禁忌なのか

犬で怖いのは「狂犬病」です。狂犬病は発病すれば致死率が100%と言われる恐ろしい病です。日本ではほぼ絶滅していてあまり実感はないでしょうが、世界的にはまだまだ撲滅されていないため、海外で野生動物にかまれた場合、すぐに狂犬病のワクチンを注射しなければなりません。

狂犬病に罹った犬は、口からだらだらよだれを垂らすようになります。つまり、ムハンマドの生きた時代には「犬の唾液=狂犬病の兆候」ととらえていたのです。

 

だからと言って犬を虐待していいわけじゃない

「犬は不浄」とは言っていますが、かといって犬を殺したり、いじめたりしていいわけではありません。コーランでは「動物に優しくすること」と虐待を戒めていますし、

ハディースでも「殴ってはいけない」とか「酷使するな」とか書かれています。

有名な説話でも、犬を助けた善行で天国に行った話や、猫を餓死させて地獄に落ちる話などもあります。

ですからディルシャーは地獄行き決定ですねw きっとアッラーの罰を受けたでしょう。

 

イスラム教の国では犬を飼っていないのか?

f:id:Tomotomo3:20200831132930j:plain

犬が不浄だと言われてはいますが、猟犬や番犬は昔から買われていましたし、現代では犬を飼っている人もいます。ムハンマド自身も番犬として犬を飼っていましたし、ドラマでも猟犬は登場していたと思います。

ただし、犬が嘗めたものは7回洗わなければならない、体をなめられた場合、体を7回洗わずにモスクに入るとモスクを消毒しなければならないなど、結構神経質です。

そのため室内で犬を飼う人は少ないようです。

ちなみに猫はモスクに入ってもOKで、実際多くのモスクでは猫が住み着いていたりします。昔から猫はネズミ除けとして重宝されていましたので、ネズミに媒介されるような病気を防ぐためにも有益だったのでしょうね。

 

 

結論 

結局「犬が不浄」という考えは、イスラム教成立当時は狂犬病を防ぐ方法がそれしかなかったためなのです。現代でも野犬が多い国などではうかつに犬を触るのはやめた方がいいでしょう。(ただし、狂犬病は犬以外のすべての哺乳類がかかる病気です。犬以外の野生動物にも注意が必要です)

 

 

 

いかがでしたか?犬はイスラム教で不浄の生き物とされていますが、同時に虐待も禁止されています。ですのでヌルバーヌの子犬を毒殺したり、悲しむヌルバーヌを笑ったりした側女たちはきっと地獄に落ちたことでしょう。人間の抗争に巻き込まれて殺された子犬が天国に行けたと信じたいですね。

 

 

 

 ↓狂犬病のおそろしさを知りたい人は

 

 

 

f:id:Tomotomo3:20200831133356p:plain