オットマニアな主婦のブログ

オスマン帝国外伝にどハマリしたオットマニアな主婦の独り言です。(注意:ネタバレありですので、本編を観てから読んでください)

Netflix オカン・ヤラブク出演「Cici 愛しいナース」(ネタバレあり)

オスマン帝国外伝では、スレイマンの親友にして義弟の大宰相イブラヒムを熱演したオカン・ヤラブクが主要キャストを務めるNetflixドラマ「Cici 愛しいナース」が配信開始されました。

www.youtube.com

 

Cici~愛しいナース(あらすじ)

カディル(オカン・ヤラブク)たちの母ハヴァは、子供たちを大学に行かせたいと夫を説得しようとするが、夫は聞く耳を持たない。

そんなある日、いたずらをした長男カディルは父からせっかんを受け、寒い戸外に放置されてしまう。体が冷え切ってしまったカディルをハヴァはたまらず家の中にいれる。

その夜、何者かによって居間の暖炉の日が消され、窓が開けっぱなしにされたことで、居間で居眠りしていた父が風邪をひき、数日後に風邪をこじらせて亡き者になってしまう。

それから月日がたち、カディルは映画製作者となり、当時の自宅で30年前に家族に起こった「事件」を題材に映画を製作するために故郷に戻ってくる。

映画には姉サリハと共に生活している年老いた母ハヴァを本人役で出演させようとするが、ハヴァは頑なに拒否をする。

カディルはサリハの娘ナズに舞台裏を撮影するよう指示し、カメラを渡すのだが・・・。

30年前に起こった事件を機に故郷を離れた家族が、当時の自宅に戻って当時を振り返ることで思わぬ真実が明らかになっていく。

最初は話がよく見えず混乱してしまいました。

家族がなぜこの家を離れることになったのか、そしてなぜカディルがこの映画を撮ろうとしているのか・・・そしてハヴァはなぜそんなにも映画に出ることを拒むのか?

 

しかし観ているうちに謎がすこしずつ解けていきます。

そして、「事件」の真相が明らかに・・・。

 

圧倒的な父親と支配される家族

作中の父親は典型的な亭主関白で、いかにも「家長」と言った風に家族を圧倒しています。

今はどうか分かりませんが、当時の田舎の保守的な家族においては、父親の言うことは絶対だったのでしょう。

一方で母ハヴァは、テレビで観た看護師にあこがれ、子供たちを都会の大学へ通わせたいと思っているようで、子供をけしかけて「大学に行きたい」と言わせています。

しかし父親は全く聞く耳を持ちません。

(劇中で登場するテレビ番組は白黒で、映っている人たちのファッションもかなり古そうに思えました・・・30年前の設定のはずですが・・・)

カディルたちの父親は寝言で「トルコ人め」と呟きます。

「事件」が起こったのは30年ほど前という設定、そして「コロナ禍」の話が出てくることから、30年前は1990年前後と思われます。

この時代、トルコではクルド人組織(PKK)によるテロや紛争が相次ぎ、不穏な雰囲気が漂っていたようです。言及はされていませんが、「村長の息子」が反体制運動に加担したという話から、この家族の住む村はおそらくクルド人の村なのではないかと推察しました。

父親が子供たちを大学に行かせたくない理由は、都会の大学に進学した「村長の息子」が、民族運動に触発されて反体制運動に身を投じたからでしょうか?

この父親と母親のハヴァは年が離れているように見え、世代の違いからか、夫婦の考えは平行線です。そこはやはりこの話の重要なポイントなのかも。

 

作品の感想

父親はいかにも保守的な雰囲気ですが、酪農家にはふさわしくない撮影機を持っていることから、決して完全な保守家長であるとは思えません。それでも田舎にひきこもって頑なに田舎での生活にこだわっている。

しかし、ハヴァの方はそういう夫に納得はしていなかった・・・。

思わぬ形で女性や子供は家長に逆らえない田舎の村社会から解放された家族・・・。

その中で起こった悲劇は家族の生活に大きな変化をもたらしましたが、カディルたちにも、苦悩があるように思えます。だからこそ「映画」を撮ろうと思ったのではないでしょうか。

 

 

近頃作られているNetflixtトルコのオリジナル作品、なぜか「抑圧された女性の反抗」みたいな感じのドラマが多いんですよね。

あちらの地上波だとセンシティブだから流しにくいってことでしょうかね?

ところで、オカンさん相変わらず達者な感じで演技派ですが、ちょっと増量しすぎで心配ですね。健康のためにもうちょっと体重落とした方がいいかも。